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事例: 海外にいる娘にどうしてやれるか・・・もう少し詳しく

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前回(①)の事例を、もう少し詳しく見てみます。

 

A(独身)と内縁の妻B(外国人)の間に娘C(幼児、Aが認知済)。A(一人息子)の父は亡く、高齢の母と同居中。BCはBの母国に居住。AはBの浪費癖を懸念して結婚をためらっており、むしろ、自身と母に何かあった際にCの相続財産がB側に散逸しない手だてを希望している。

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1.娘Cの養育地について

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娘Cを日本に呼び寄せるには、本人が既に日本国籍を取得しているので、現地日本国大使館・(総)領事館でパスポートを取得するだけです。渡航の時期については、例えば、

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(1) ABとも日本での成長を望むならば、できるだけ早く、物心つく前にでも済ませるのがよいでしょう(日本語学習、という観点からも)。

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(2) C本人に選択させよう、との判断ならば、Cが自身で判断できる年齢・状況になった時点で決めさせる、ということになるでしょう。

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(3) Cは日本で生活したいが、母Bが反対、という場合には、現地での調停や裁判という選択肢があります。この際、同国が「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(「ハーグ条約」)の締約国である場合ですと、その理念を勘案した判断もあり得ます。具体的には、日本への渡航後もBとの面会交流の機会を確保すること、などです。

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2.娘Cの相続財産の管理について

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前回、家族信託が有効な選択肢となる事例、と述べました。もう少し踏み込んで考えてみます。まず、おさらいですが、この場合の信託の利点は、

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(a) 財産の利益を享受する権利と

(b) 財産を管理・処分する機能

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を分別できる点でした。具体的な契約の建付けを、下欄のスキーム図1で考えてみます。

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(1) 母M、自身Aが委託者兼受託者兼受益者となり、不動産と預金を信託財産とし、第三者Tを重畳的に(MAと連帯債務のように)受託者に、娘Cを重畳的に(MAと共同債権者のように)受益者とする信託契約を締結します。

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(2) 母Mか自身Aが存命の間は、そのいずれか(両方存命の間はA)が主たる受託者として、MAの生計費を管理しつつ、預金から毎月、娘Cの生活費と就学費用を支給します。必ずしも海外送金に限らず、例えば国内の指定口座に振込むと、その残高の範囲内で現地通貨建てで引出せるカードをCに持たせるなどすれば、より経済的でしょう。

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(3) 母Mと自身Aの両方が死亡した後は、第三者Tが残る受託者として娘Cへの月額支給を引継ぐこととし、この際、Cの就学に伴う費用を契約書や請求書で毎回、確認することとします。状況次第でTの判断により、ある程度の範囲で送金額を増減できる条項を定めておくなども可能です。なお、より永続的なスキームを意識するなら、Tを法人とするなども選択肢となります。

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(4) 娘Cが大学を卒業し、就職するなど自活することができるようになるまでの間に預金残高が不足するようになった際は、受託者Tの判断で不動産を処分・換価して預金にプールする、などの条項もあっていいと思われます。なお、信託財産に余裕がある場合、複雑な財産処分の事態に備えて、より実務に精通した信託事務代行者を予定しておくことも検討材料となります。

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(5) この他に、母Mと自身Aのいずれかが亡くなった後、残るもう一方の認知機能の減退に備え、任意後見契約を結んでおくのも有効です。この際、Tが後見人ないし保佐人を兼ねるのも可能です。またその場合、後見監督人や受益者代理人を予定して監督機能を強化する手立ても考慮に値します。

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(6) こうして娘Cが大学を卒業し、就職するなど自活することができるようになったと受託者Tが判断し、その他の保護関係人(後見監督人や受益者代理人など)が同意した場合に、精算を経て信託が終了することとし、その際の状況に応じ、預金残高をC名義口座に移し、不動産が残っていれば所有権移転登記をし、あるいはCの希望によっては売却・資金化して口座に入金することとすればよいでしょう。

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(7) このようにして契約内容が固まり、各当事者、関係人の了解がとれれば、公証役場で公正証書にしていただく段取りとなります。

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前回の繰り返しになりますが、Aさんが遺言書を残し、遺言執行者を定めておいたとしても、娘Cが実質的に自己決定できるようになる前に財産の処分権を取得してしまうと、親権者B(Cの外国籍の母)の影響力により事実上、自由にされてしまう危険性が高いので、このような信託スキームにより、「親なき後」の財産処分権をあえて当面の間、拘束する訳です。

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引続き、信託の応用方法をご案内してゆきたいと思います。

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家族信託?どう使う?①

⇒ 家族信託?どう使う?③

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「私の履歴書」他(相続・事業承継・M&A以外のブログ)も読む

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ご参考