ピンチをチャンスに!その2「補助金戦略」他 事業承継⑤
前回は「ヒト」の問題を深堀りしました。今回は、残る「モノ」「カネ」にフォーカスします。ズバリ、「補助金戦略」です!
目次
事例 「事業承継」に動き出した後継者様。今後の事業計画は?
さあ、後継者様の心構えは固まりました。
次のステップは、何でしょうか?
取引先様へのご挨拶?メインバンクへのご挨拶?ちょっと待ってください。
「宜しくお願いします」・・・ もちろん、挨拶そのものは、そんなところでしょうが、先立つモノが必要では?
創業者様からの初の代替わりです。周囲のステークホルダーの皆さんが、不安になって当然では?先ずは、今後の事業展開についての展望、あるいは事業計画・経営方針の策定があるべきで、挨拶回りは、それからではありませんか。
くれぐれも、大企業ではないのです。企画部が中期経営計画を策定済で、また決算予想も公表済であって、何よりも新経営者様の「顔出し」が先決、「挨拶漏れ」の防止が絶対命題、という状況では「ない」のです。今後どうやってゆくおつもりなのか、肝心な「それ」を表明できなくては、ただご挨拶だけでは、相手様も困ってしまいます。
1.事業計画・・・ ただの「お題目」に終わらせないために

「事業計画書」と申しますと、起業の際に必要書面の一つとして作成するもの、といったイメージが強いかもしれません。
しかし、事業承継となりますと、何といっても経営者様の交代である訳ですから、当然ながら、会社にとっては極めて重大な、一大事です。従来からの事業をそのまま従来どおりに続ける、だけでは、様々な「ステークホルダー」の皆様から納得していただけない局面も、少なくないと思われます。典型的なところで申しますと、まずはメインバンクです。状況(経済・金融環境など)次第では、これを機に既存の融資残高の具体的な返済計画の作成を改めて要求される、などの可能性は大いにあり得ます。
取引先様からしましても、売掛債権の管理・回収に限らず、今後の取引方針の見直しなどといった観点からも、大きな関心事となるところでしょう。ここは、これを機会に大きな展望を示す必要がありそうです。
実を申しますと、これは社外からの「外圧」によってやむを得ず、ばかりでもないのです。ズバリ、「公的制度の活用」など、前向きな方向性での切り口のお話です。例としましては、「事業承継補助金」や「ものづくり補助金」の活用などが考えられます。
2.補助金の活用を考える

・前々回のブログ「経営者保証と事業リスク 事業承継③」で触れましたように、今後10年ほどのうちに、最悪、日本の中小企業で最大100万社以上が廃業し、数百万人の雇用と20兆円以上のGDPが失なわれかねない、という危機に瀕しています。
国や各地の自治体は、これによる税収減をなんとか防止・緩和しようと、
① 事業承継税制の「異次元緩和」(新事業承継税制)による贈与税・相続税の納税猶予
② 様々な補助金・助成金の創設・拡充
などにより、以前から躍起になって様々な施策を打ちつつあった訳ですが、そのタイミングでコロナ禍が追い打ちをかけた形となっていました。
・さて、上記①の特例を受けるためには「特例承継計画」という申請書を作成し、提出する必要があります。これは、簡単な経営計画を策定し、メインバンク等からもらった経営改善アドバイスをまとめて記載する、といった内容の書類です。
・もう一方の②についても、所定の申請書の作成が必要ですが、その主たる内容は、これら公金を受領後に設備投資等を行った結果、数年かけて経営を改善する(生産性の向上、賃上げなど)という計画です。
・つまり、①と②のいずれの場合についても、広い意味での「事業計画」の策定であるという点では同じな訳でして、実はこれは、1.で触れました、承継後のメインバンク等向けの説明資料そのもの、といってもいいような内容なのです。ということは、そのような金融機関向けの説明資料の作成作業の結果として、いずれも「ついで」という程度で済ませてしまうことができるという訳でして、折角なら一回の作業の結果として、その後に続く毎回の説明に使え、また、もらえるおカネはもらっておき、更に政府(経産省)からも取引先様からも、より信用してもらえる結果となるなど、新経営体制の基盤固めという意味で、いわば「一粒で二度も三度もおいしい」効果を期待できる、という訳なのです。
3.「トランプ関税」危機の今こそ!

・以前のここでのブログ、「ピンチをチャンスに!「自社株対策」 事業承継①」でも見ましたように、生前贈与によるにせよ、相続によるにせよ、後継者様側が要する資金手当ての額は、今回の「トランプ関税」危機による会社業績の低迷を「逆レバ」にして、相当程度、圧縮することが可能です。つまり、将来の利払い・返済負担を一気に軽減できる、千載一遇の好機なのです。
・「トランプ関税」危機に関しましては、それだけでなく、上述2.の補助金申請についても、今後の事業計画策定などにとって一見して「逆風」と見えるかもしれませんが、むしろ結論としては逆です。つまり、今期から来季への「発射台」(事業実績)が十分に低くなるであろうその分、補助金による設備投資などに続く数年間にかけて、生産性の向上を見込む筋書き(将来業績見込)は、大いに書きやすくなった、とみるべきです。いわゆる「成長率のゲタ」を履いて出発できる訳です。ここ10年に一度とも見るべき好機を、むざむざ逃す手はありません。
・それだけではないのです。2025年度は、中小・小規模事業者関係予算だけでも、補正予算含め7,000億円近い膨大な予算が組まれています。来春に向けての今こそが、チャンスなのです。中でも、代表者の交代につきましては、200億円以上の予算が計上されています。
・戻り需要による回復トレンドも見込めるこの機に、後継体制に向けての筋書きを着々と策定してみてはいかがでしょうか。